はつうぐ便り

絵本とおとぎ話の制作現場からお届けします

0004 流行

動物たちの世界では今二足歩行がブーム!

 

犬も猫も象も牛も、若い世代は今みんな二足歩行!

 

今からでも間に合う!憧れの二足歩行の方法を伝授します!

 

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今の時代、とにかく誰も彼もが二足で歩いている様だ。

 

「まったく、本当にどうしようもない時代になったもんだ。はっ!」

 

ペンギンのペギ尾さんが、小鳥たちにご飯をあげながら言います。

 

「オレぁ別に二足がいいなんて思ったことないね!四つ足だって速く走れりゃそれが一番じゃねぇかってんだよ、なぁ!」

 

生まれてからずっと二足で歩いてきたペギ尾さん。それぞれが本来持っていた個性が失われていくことを嘆きます。

 

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「なんで二足歩行しているのか、もう忘れてしまいました」

 

チーターの知多山さん。若い時に周りに流されて二足歩行を始めました。

 

「今となったらね、馬鹿なことしたなって、、、思わない日はないですよ」

 

二足歩行を始めて1年した頃、足腰が悲鳴をあげ、二足はもちろん四つ足でも歩くことも難しくなってしまいました。

 

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「わたしは基本一本足ですけど、誰も憧れやしねーのなんでよ?」

 

そう疑問を投げかけるのはフラミンゴのミンさん。二足歩行がブームになるのなら、一本足も流行ったらどんなんだと唱えます。

 

「わたしだってね、みんなの憧れになりたいですよ、、、一回くらい。一本足、、、カッコいいですよ!少なくともわたしは誇り持って一本足やってますよ!」

 

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最後にお話を伺ったのは飛び魚のトビさん。手も足も持たず、海の中を高速で泳いでは、水面を飛行もします。

 

「二本足ねぇ。おいら別に憧れやしないけどね。でもまぁ、足があったら陸を走ってみてぇなんて思ったりもしますけどね」

 

どこかもどかしく話すトビさん。胸の内に秘めていた想いがありました。

 

「オイラみたいなのが手足持ったってカッコ良くなってないだろ?可愛くないだろ?人気でねぇよ!」

 

思いの丈を吐露し始めたトビさん。感情を抑えつつも、溢れ出す思いは止まりません。

 

「おんなじだよ。四つ足のやつは四つ足がいちばん!二足になったってしょーがねーよ!無理して怪我して、後で変なんだって気付いたってもう遅いんだから!」

 

あなたはあなたのままでいちばん。なによりも可愛いしかっこいい。妙な熱狂の中で気付いた大切なことです。

 

二足歩行ブームはいつまで続くのか?今後も注目していきます。